今回は、高齢者向けの座ったままできる体操レク(上肢編)をご紹介します。
と!その前に、高齢者にとっての体操の意味・目的をしっかり理解する必要がありますね。
本質を理解せずただ形だけの体操をやるだけではあまり意味がありませんので、しっかり理解を深めましょう。
目次
高齢者にとっての体操の目的・効果とは?
❶ 加齢による身体能力の低下を予防したり、
❷ 怪我や病気で悩んでいる方が介護状態になる事を防ぐ、
❸ または進行を遅らせるための
筋力トレーニングやストレッチを意味します。つまり、❶~❸が目的になります。
筋力トレーニング・ストレッチの具体的な効果には・・・
「筋力低下の予防」「関節可動域の維持・改善」「神経機能の正常化」「血液循環の改善」「筋肉の柔軟性を保つ」
があり、そのほかにもたくさんの効果が期待できます。
高齢者になると若いころに比べ運動する時間も量も減ってしまうため、ご本人や周りの方が気にして運動の機会を設けることが必要です。
いま日本は世界に類を見ない長寿国となりましたが、ただ長生きをするだけでなくいかに健康寿命を延ばしていけるかが大事になってくるのではないでしょうか。
今回は、そんな体の上半身部分にあたる『上肢に関しての体操レクリエーション』をまとめました。
【補足】上肢体操ってなに?
上肢(じょうし)というのは肩から手指にかけてのことで、食事や更衣動作などで欠かせない体の部位です。
さらにいうと、下肢の筋力が低下し車椅子生活になったとき、ご自身で車椅子を操作するときにも上肢の力が必ず必要になってきます。
以下で紹介する体操レクレーションは単純なものが多いですが、少し時間が空いた時にでも手軽にできるものにしています。
運動は大事とわかっているけど、毎日続けることが難しい…という高齢者にも簡単に導入できる体操になっています。
高齢者が座ってできるレクリエーションゲーム!20選(上肢編)
それでは早速、座ってできるレクリエーションゲームを紹介していきます。
① シュラッグ
肩や首回りの筋力トレーニングです。筋力アップはもちろん、肩こりにも効果があります。
1⃣ 1mほどの棒(杖・新聞紙を丸めたものでも可)を用意します。
2⃣ 棒を膝の上に置き、両手で棒の中心を持ちます。
3⃣ 姿勢をまっすぐにして、肩をすくめ棒を体にそわすように肩の位置まで持ち上げます。
4⃣ 棒を再び膝の上に降ろします。
☝ 1~4の動作ゆっくりとやるのがコツです。
② バンザイ
頭を洗う際などに必要な、肩の柔軟性を高める運動です
1⃣ 1mほどの棒(杖・新聞紙を丸めたものでも可)を用意します。
2⃣ 棒を膝の上に置き、棒の両端を持ちます。
3⃣ 出来る限り棒を上に持ち上げます。
4⃣ 棒を再び膝の上に降ろします。
☝ 1~4の動作ゆっくりとやるのがコツです。
③ 手首ほぐし
手首は高齢者の骨折が最も起こりやすい部位です。柔軟性を保つことで骨折の予防効果があります。
1⃣ 両手を組みあわせます。
2⃣ お互いの手首をゆっくりと回します。
☝ 両肩と両肘をなるべく動かさずにやることが大事です。
④ 肩まわし
肩周りの筋肉の柔軟性を保ちます。
肩周りの筋肉が固くなったり筋力が低下すると、円背の原因になります。
円背は立位時の姿勢が悪くなり、ちょっとバランスを崩しただけでも転倒の危険性が高まります。また、内臓を圧迫し体調不良の原因にもなります。
1⃣ 洋服の方の部分をそれぞれの手でつかみます。
2⃣ 肩甲骨で背中に円を描く様に、大きく肩を回します。
3⃣ 前から、後ろから回す運動を交互にやっていきましょう。
⑤ 首の運動
首回りの柔軟性を保ちます。肩こりの予防、咀嚼・嚥下機能の賦活、バランス能力の維持が期待できます。
姿勢をまっすぐにした状態で行います。
1、前に倒す 2、後ろに倒す 3、左に倒す 4、右に倒す 5、右を見る 6、左を見る
という1~6の動作を順番にゆっくりとやっていきます。
⑥ 自転車こぎ
上肢にある関節(肩甲骨・肩・肘・手首)のほとんどを使います。
関節全体の複合的な運動をするのに最適です。
1⃣ 30㎝ほどの棒(杖では少し長いかもしれません)を用意します。ラップの芯などでもいいかもしれません。
2⃣ 棒の中心を支点として自転車をこぐように上肢全体をぐるぐると回します。
☝ 動きが少し複雑ですので、動画を参考にしてみてください。
⑦ 棒揺らし
肩関節の動きを良くするための運動です。
よく五十肩などの診断を受けた患者様が、リハビリや自宅での自主訓練などで行っています。
別名「アイロン体操」ともいいます。
1⃣ 短い棒(ラップの芯くらい)を用意します。
2⃣ 棒を片手で持ち、体の横につけます。
3⃣ 腕全体の重みを感じる様に、肩の力を抜きます。※棒を持つ手だけに力が入っているようなイメージです。
4⃣ 腕全体を一本の棒にしたようなイメージで、ブランコのように揺らしていきます。※棒の重みで腕が揺れているようなイメージです。
⑧ バランスボール
この体操はレクレーションも兼ねたものです。
上肢の筋力訓練はもちろん、バランス感覚の維持にも役立ちます。
1⃣ ボール上で上手くバランスをとります。
2⃣ 前後左右上下、様々な方向にお尻を動かしエクササイズします。
⑨ グーパ―運動
こちらは手の運動だけでなく、足指も同様の運動が出来ます。
体の抹消部分を積極的に動かしていくと、脳が活性化され認知症予防にもなります。
さらに手指の運動は物を握る筋肉の訓練となり、ふたを開ける、物をつかむといった細かな運動能力の維持に効果があります。
リズムよく左右の手指で「グーパー」「グーパー」を繰り返します。
☝ 左右の手で違う動き(例:右手がグー、左手がパーなど)にしたり、リズムを早くしたり、また、両腕をまっすぐ肩の高さまであげて行えば、上肢全体の筋力訓練にもなりますね。
⑩ 腕の上げ下げ
ゆっくりやると、上肢だけでなく体幹全体の筋力訓練にもなります。
1⃣ 両腕をまっすぐにしたまま、肩の高さまで上げます。
2⃣ 肘から先を直角に上げます。
3⃣ 肘から先をゆっくり(3秒ほど)とまっすぐ(1の姿勢)にしていきます。
☝ ダンベルなど持つとさらに効果が期待できますが、高齢者にはもう少し軽いものがよいでしょう。
⑪肘の曲げ伸ばし
肘の関節の曲げ伸ばしの運動です。
日常生活には肘の動きも欠かせませんよね。
1⃣ 紐を輪っか状にしたものを用意し、その中に両手を入れ手首にかけます。
2⃣ 片手を前方に、もう片方の手をお腹の方に動かします。その状態を10秒程キープし、次は手を入れ替えます。
程よく負荷をかけつつ曲げ伸ばしを行うことができますね。
⑫腕、肩のストレッチ
肩の力を保つことは猫背を予防し、姿勢の保持にも繋がります。
姿勢の保持と言うと背筋が関係しているイメージがあるでしょうが、肩も重要な部位なんです。
(0:00~1:22)
1⃣ 腕をまっすぐ前に伸ばし、腕を内側にねじります(親指が下を向く状態)
2⃣ 徐々に手の平を上に返しながら、腕を引いていきます。
3⃣ これの繰り返しになります
腕を引いた際に背中が丸まってしまわないように注意する必要があります。
⑬腕、肩のストレッチ2
こちらも⑫と同じように腕を伸ばしながら行うことができ、肩や腕に効果的で手軽な体操です。
(1:23~ラスト)
1⃣ 腕をまっすぐ前に伸ばし、両手を重ねます。
2⃣ 重なった手の下に来た方の腕を、後ろにゆっくり回し頭上を通るようにし、1周してきたら動かさなかった手の上に重ねます。
3⃣ これの繰り返しになります。
クロールのようなイメージをすると分かりやすいでしょう。大きく回すのがポイントで、肩回りの血流が良くなるので肩こりにも効果的です。
⑭リウマチ体操
ここでご紹介するのはリウマチの方がご自宅でも簡単にできる体操です。
音楽に合わせて行うもので、指の曲げ伸ばしなどの運動が取り込まれています。
動きそのものは特別珍しい体操ではありませんが、一連の流れとして行うことで効果が期待できるのではないでしょうか。
⑮手首の痛みの改善方法
手首の痛みがあると、日常生活の中でも力が入りづらいことで不便さを感じるかと思います。
この動画の中では、誰でも手軽に手首の痛みを簡単に解消させることができる方法が紹介されています。
しかし、痛みの原因が骨折など行わない方が良い場合もあり得ますので注意が必要です。
適切に専門医を受診することも機能維持に関しては欠かせないポイントです。
「ちょっと手首が痛むな」程度の時の対処法の1つ程度に捉えても良いでしょう。
⑯指回し体操
指先を使うことで、単なる指の運動だけに留まらず脳へのいい刺激も期待できる体操です。
1⃣ 両手の指をくっつけます。
2⃣ 1組ずつ順番に、互いの指がぶつからないようにクルクルと回します。
単純な動作ではありますが、これが意外と難しいんです…!
⑰ペン回し
得意な方、苦手な方が極端に分かれやすいのではないでしょうか。
手先の器用さが求められてきますね。ちょっとした遊びも兼ねて挑戦してみましょう。
ペンさえあればどこでもできるので、指先を動かす機会としてご自宅でも手軽に取り入れることができます。
「よくある指の曲げ伸ばしでは退屈」という方でもこれなら楽しみながら取り組めるかもしれませんね。
⑱鏡文字
鏡文字を書いたことがありますか?
やってみると思った以上に難しいものです。流石に漢字となるとハードルも高いですし、平仮名も文字によっては苦戦するかと思います。
そこで画数の少ない数字やアルファベットで挑戦してみましょう。
両手にペンを持って、片方の手で通常の数字を書き、もう片方の手で鏡文字の数字を書きます。
地味な作業ですがペンを持つ指の力、文字を書く手首の動きを利き手ではない手でも行うことで脳トレも兼ねた手の運動になります。
⑲輪ゴム渡し
手先の力を活用した簡単なトレーニングです。
1⃣ 親指に輪ゴムをひっかけます。
2⃣ 親指と人差し指の力のみを使って、輪ゴムを人差し指に移します。
3⃣ 次は人差し指から中指、中指から薬指、薬指から小指と順に同様の動作をしていきます。
見た目以上に指先の力を使った動きになります。
利き手ではやりやすいでしょうが、反対の手では恐らく苦戦するでしょう。
両手ともスムーズにできるようになると良いですね。
⑳ウェーブ体操
手首、肘の柔軟性を高める体操です。
動画では立って行っていますが、座ったままでも実践できます。
1⃣ 両手の指を絡ませるようにして組みます。
2⃣ 腕全体を波打たせるかのように、ゆっくりと動かします。
3⃣ 腕全体の重みを感じる様に、肩の力を抜きます。※棒を持つ手だけに力が入っているようなイメージです。
4⃣ 腕全体を一本の棒にしたようなイメージで、ブランコのように揺らしていきます。※棒の重みで腕が揺れているようなイメージです。
以上、座ったままできるレクリエーションまとめでした!
いかがでしたでしょうか?
簡単にできる反面、簡単すぎて毎日やると飽きてしまうかもしれません。
しかし、誰かと一緒だったり、目標を決めて行うことが、モチベーションを維持につながります。
今回の記事が、皆さんの健康寿命の維持に貢献できることを願っています。
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