「高齢者に声をかけるとき、どんなことを意識すればいいんだろう?」

 

そんな疑問は、施設で働く職員さんの多くの方は一度は考えたことがある点ではないでしょうか。

 

経験のある職員さんは今では当たり前のようにできていることでも、新人の職員さんにとってはそうはいかないものです。

 

今回は、そんな高齢者におすすめの声かけ・そして声かけする際のポイントや注意点をお伝えします。

 

職員としての高齢者への声かけの基本

①高齢者との距離感を大切にする

利用者さんは人生の先輩であり、自分の祖父母ではない高齢者です。

 

高齢者に接するとき、施設の職員さんであれば当然そのことを改めて意識しておく必要があります。

 

はっきりと言ってしまえば、施設の職員さんはあくまでも「仕事として」高齢者に接することになりますので適度な距離感を忘れてはいけません。

 

施設の職員として高齢者に接する、サービスを提供することになる以上、相手が不快に感じるような態度や言葉遣いは避けるべきであると言えます。

 

②絶対に子供のように接してはいけない

注意していただきたい点として主なものを1つ挙げるとすれば「子どもに接するような対応」を取っている方はいないでしょうか。

 

当然、高齢者の中には認知症が進行している方もいます。

 

認知症が進行した様子を、子どもに戻っていくようだという表現をする方も見えますがそういうわけではありません。

 

認知症が進行すると、新しい記憶はすぐに抜け落ちてしまう傾向にありますが、その方が今まで経験してきた記憶は強く残っています。

 

戦争の話など、昔の出来事を何度も繰り返し話す高齢者がいますが、それはこのことが関係しています。

 

つまり、高齢者が積み重ねてきた経験は決して消えてしまうわけではなく、長い人生経験から来るプライドもあります。

 

当然、認知症になったとしても楽しいことは楽しいと感じますし、不快なことは不快だと感じる感情があることも変わりません。

 

そう考えると、高齢者に対して子どもに接するような対応を取ることが非常に失礼な態度であることが分かるかと思います。

 

絶対覚えておきたい!高齢者が元気(喜ぶ)になる言葉【6選】

①「さすがですね!よくご存じですね!」

高齢者と話をする中で、その方が今まで積み上げてきた経験から来る貴重な話を聞ける機会もあるでしょう。

 

その中には、若い世代の方には初耳となる知識もあるはずです。

 

そんな時には、素直に敬意を表する意味でも使える言葉ですね。

 

②「マネさせていただきます!」「参考にします!」

人生の先輩である高齢者の皆さんの話には、日常生活の中で活かすことのできる知識もあります。

 

そんなためになる話を聞けた時に使える言葉です。

 

③「ほかの方よりもお若いですね!いつまでも若さを保てる秘訣を教えてください」

「若く見える」と思われて嫌な気分になる方はあまり居ないかと思います。

 

高齢者の中には同年代の他の方と比べても、非常に活発にされている方も見えます。

 

見た目の若々しい印象だけではなく、その方の精神的な面での若々しさに関して触れる意味でも使えそうですね。

 

ただし、見た目という点においては周囲からは若く見られるような方でも、その点に触れて欲しくない方、それを言われると不快に感じる方も見えますので注意が必要です。

 

④「まだまだ現役ですね!」「元気の秘訣はあるんですか?」

デイサービスなどの利用者さんの中には、まだまだ現役で家事をこなしていたり、畑仕事をしていたりする方も見えます。

 

そういった方の経験談などを引き出す際に、「長く続けるコツは何ですか?」などと繋げられそうな言葉ですね。

 

「お上手ですね。」「とても器用ですね。私が教わりたいくらいです。」

レクリエーションでのゲームや、作品づくりの際に使える声かけです。

 

作品づくりの内容によってはむしろ職員さんが教わる方じゃないのか…という程上手く作業を進める方も見えますね。

 

ただ黙々と作業を続けるだけよりも、職員さんとも話をしながら作業ができることを楽しんでくださる方も多くいます。

 

「〇〇に行ってこられて、どうでしたか?」「たしか、週末にお孫さんが見えたんですよね?」

これはほんの一例ではありますが、利用者さんとの話の中で翌日以降の予定の話が出てくるかとも思います。

 

家族旅行に行く予定であったり、お孫さんが遊びに来る予定であったりと色々なパターンがあるでしょう。

 

そのような話を聞いていた場合は、次にお会いしたときにその話題について聞いてみましょう。

 

その話を覚えていてくれた、とちょっと嬉しい気分になっていただけるのではないでしょうか。

 

今日からでもできる!声かけのポイントとは!? 

 

 

ここからはポイントや注意点を項目ごとにまとめてみました。

 

ぜひ、参考にしてみてください。

 

ここでのポイントは施設職員さんが利用者さんに接するときだけではなく、皆さんがご自分の両親や祖父母と接するときのポイントにもなりますよ。

 

①大きな声で ゆっくりと

人間は年を重ねると身体機能が低下していきます。

 

手足の力だけではなく視力や聴力も衰えていきます。

 

中には、会話が困難な程聴力が低下しているケースもある程です。

 

会話がチグハグになってしまっているからと言って、理解力が低下しているとは限りません。

 

当然、声かけが聞こえなければ自分に話しかけていることに気が付きませんし、聞き間違いをしていれば本人に聞こえている内容への返答が返ってくるのは当たり前です。

 

大きな声でゆっくりと、場合によっては耳元で声かけをすることで聞き取れる方も多くいます。

 

その方の聞こえ方によっては言葉を言い変えたり、身振り手振りを交えたりすることでより伝わりやすくなる場合もあります。

 

それでも聞こえない場合は、筆談を用いるなどするのもいいでしょう。

 

ちなみに、高齢者の難聴は高音から聞こえづらくなると言われており、子どもや女性の声が聞こえづらいケースも多いようです。

 

また、電話の着信音に気づかなかったり、顔を向き合わせて話していれば聞こえる声でも電話越しでは聞き取れない方も珍しくはありません。

 

②目を合わせて

高齢者と話をする際、特に施設であれば相手の方は座った状態であることが殆どでしょう。

 

座っている相手や寝ている相手に立って話しかけると、見下ろしているような状態になってしまいますね。

 

また、急に後ろから話しかけられたりすれば当然びっくりしますね。

 

相手に不安を与えないためにも、しゃがんだ状態で目線を合わせて話しかけることを意識しましょう。

 

また、先に述べた難聴の方に対しても「あなたに話しかけています」というのが視覚的にも伝わりやすくなります。

 

③否定をしない、話をよく受け止める

認知症になると、最近の記憶が残りにくくなる旨は先にお伝えしたとおりです。

 

それと同時に強く残っている過去の記憶があると、今をその当時と思い込んだ言動が見られたりする場合もあります。

 

仕事をしていると思い込み出勤しようとする、今住んでいる家よりも以前に住んでいた場所にいた頃の記憶が強く出てくると「ここは自分の家ではない」と思い外に出ていこうとしたりということが起こる可能性があります。

 

それで道が分からなくなったりすることが、徘徊の原因の1つとも言えますね。

 

また、同じ話を何度も繰り返すのも認知症状ではよくあるものですし、年相応の物忘れがあれば認知症程ではないにしろ、過去に聞いた話を何度か話すこともあるでしょう。

 

そのような場合に意識していただきたいのは、「否定をしない」「話を合わせる」という点です。

 

実際には違うことではあっても本人の中では、それが真実と言えます。

 

それが実際に過去にあったことであっても、被害妄想であっても否定から入ってはいけません。

 

しかし、何度も同じ話を繰り返すことでイライラしてしまい、家族であればつい強い口調になるのもおかしなことではありません。

 

とは言え、否定から入ると高齢者には不安や困惑を与える原因になってしまうため、なかなか難しい点ではありますね。

 

また、何かしら本人や周囲にとって危険であったり、他者への迷惑となる行為があった場合は肯定するわけにもいかず、何かしらの対策を講じる必要はあります。

 

さいごに

 

いかがでしたでしょうか?

 

文章で見れば一見簡単そうな印象もあるかもしれませんが、実際に意識してみても、なかなかうまくはいかないものです。

 

それも当然です。何故なら、高齢者への接し方へのポイントはあっても、100%正しいマニュアルは存在しないからです。

 

わたしたちは年を重ねても、それぞれ違う人間であるということは変わりません。

 

Aさんへの対応としてはベストなものであったとしても、Bさんにとってはそれは望ましくない対応である、ということは当然起こり得ます。

 

ポイントを意識しながら、個別の対応を考えていくことが大切ですね。

 

すぐにはできることではありませんが、普段接していく何気ない会話の中にそのためのヒントが隠されているかもしれませんね。

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